2005年06月30日

日記

たっぷりと水分を含んだ風の匂いは鼻をくすぐり、雨は地面にあたってはじけて音を鳴すので、私は誘われるようにしてベランダに出る。湿気で満ちた空気がねっとりと体にまとわりついてきて、Tシャツを着た私には少し肌ざむい。アパートの屋根で切り取られた稜線の上を見ると、暗くてどんよりとしたもこもこの雲が空一面をしめている。遠くにある鉄塔は薄い靄がかかっていて、まるで雲と同化したようで、どこからかどこまでが鉄塔で雲なのかはっきりと区別をつけられない。ベランダ、屋根、道路、地面、植物の上で雨はさまざまな音を奏でていて、ときおりたまって大きくなった雫が重力に引っ張られて手すりに落ちると、ひときわ大きな音をたてる。雨音にもいろいろな音階があって、ぶつかる場所によって調子を変える。若き日のシベリウスの気持ちもなんとなく理解できた気がする。雨音にまじって雀はちゅんちゅんと、名前の判らない鳥はぴぃぴぃと鳴いている。天気の悪い日でも鳥たちが鳴くことに気づいて少しの驚きを覚え、同時に自然の営みの新しい一面を発見したことに些細な喜びを感じる。そういえば朝に雀以外の鳥が鳴いていることに気づいて、はっきりと意識したのもはじめてだ。視線を民家の庭に移すと、旺盛に繁る緑の葉っぱのうえで、半球の形をした淡い藍色の花が咲き誇っている。紫陽花である。梅雨だなあと寝起きのぼんやりとした頭で考え、しばらくその場で佇んでぼーとしているとぶるっと体が震えたので部屋の中へと戻るのだった。
posted by doolittle at 08:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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